
皆さんは、「こうやったらもっと効率がいいのに」と思うことはありませんか?
または、新しい職場、新しい部署に移動したあとに、「前は別のやり方でやってたんだけど、そのやり方のほうが良さそうだな」って感じたことはないでしょうか?
いきなりそういった指摘をしても、多くの場合は「これがうちのやり方だから」と却下されたり、「いいから黙ってやりなさい」と一蹴されます。
一方的にそう言われると嫌な気分になりますよね。
このような閉鎖的な職場環境では、モチベーションを維持するのは難しくなります。
では、どうやって働いていくべきでしょうか?
不満を持ちつつも意見を押し殺して働くべきか、それとも何とかこちらの意見を聞かせるよう繰り返し説得を試みるべきか?
今回は、閉鎖的な職場環境でもスキルを高められる、模倣する技術の必要性について考察していきたいと思います。
Contents
≫ 人類の進歩の鍵は模倣

|考える力を持っているのはあなたの素晴らしい長所
まず、あなたが問題を見つけ出し改善案を考えられること自体は素晴らしい長所です。
周りから何を言われても、考え続ける習慣はやめないでください。
以前の記事でも紹介しましたが、医療者にとって最も重要なコミュニケーション力の基本は考え続ける力です。
あなたが問題を見つけ出し、解決策を探そうとする努力の方向性は決して間違っていません。
≫ キャリアアップにも有効!コミュニケーション力を高めるトレーニング
|模倣することを心がけてみる
考える習慣を続けた上で「まず徹底的にそのやり方をパクる(TTPする)」ことを始めてみましょう。
模倣は人類が生存し、繁栄してきたうえで欠かせなかった技術の一つと言われています。
人間は地球全体で70億人以上の人口を持っており、地球上で最も栄えている哺乳類といえます。「人間が繁栄したのは直面した問題について思考する高い知能を持っているからだ」という説も広く受け入れられていますが、近年では認知科学者や人類学者の中に「人間が繁栄した理由は『何も考えずに他者を模倣する力』を持っていたからだ」という考えが広まっていると、ボストン大学の客員研究員であるコナー・ウッド氏が解説しています。
人間が繁栄した鍵は革新的な思考力ではなく「何も考えずに他者を模倣する力」かもしれない – GIGAZINE

まずはいろいろな意見を一旦飲み込んで、「もうお前に教えることはない」と言われるまでやるつもりで技術や方法を徹底的にパクりましょう。
多くの場合は、そのやり方に至った理由があるため、パクっている過程でそのやり方のいいところ、悪いところがより見えてくるでしょう。
特に納得の行く理由がないようであれば、そのやり方で続ける必要がないことかもしれません。
≫ 免許皆伝の後にやること
|改善策の「提案」をする
免許皆伝を頂いたら、もう一度改善案を「提案」してみましょう。
可能であれば論文のコピーを渡したり、インターネットから説得力のありそうな記事をコピーするなど、ある程度の根拠を提示したほうがいいですね。
免許皆伝したあなたが、根拠を持って提案した内容が無下に却下される可能性は以前より格段に低くなっているはずです。
|変えられない場合もあることを想定しておく
もちろん、どうしても変えられないこともあります。
それはその人、その施設が過去に経験した苦労や譲れない考え方に起因しています。その場合は残念ですが、すっぱりあきらめましょう。
自分がコントロールできるのは自分だけです。コントロールできない他人や環境に頭を悩ませるのは時間の無駄です。
無駄なことに時間や精神力を費やすのはやめて、自分の技術や経験を高めることに時間を使いましょう。
ただし不幸なことですが、いくら努力しても何の意見も聞き入れられない場合もあります。その場合は、あなたはかなりブラックな職場で働いている可能性が高いと思います。
自分の肉体・精神の健康を考えるなら、職場を変えることを検討するのも一つの手かもしれません。
≫ 提案する場合の心得

相手にいろいろしてほしい場合や、従来のやり方を変えたい場合には、相手への伝え方は非常に重要になります。
それが例え正論であっても、いや正論であるほどです。
ネルソン・マンデラ*も、著書の中で「人を動かすときは頭ではなく心に向かって訴えかけよ」と言っています。道理だけで人間は動かせないことが多いのです。
* 南アフリカ共和国元大統領でありノーベル平和賞受賞者。アパルトヘイトを撤廃に尽力した。
子供の時に、親から「早く宿題をやりなさい!」と言われて、「そんなの分かっているよ!」と言い返したことがありますよね。
わたしも新しい治療法などを提案する場合は「このやり方のほうが絶対いいですよ」、「こうしないとダメでしょ」という言い方ではなく、「こんなやり方もあるみたいですよ」とか「この間、論文で読んだこんなやり方はだいぶ成績がいいみたいですね」という言い方を使うように心がけています。
多くの場合はその提案が受け入れられたり、そこから議論になってさらに別の方法が選択されたりします。
結果として、より生産的な仕事につながり、あなたの評価もより上がることでしょう。
≫ 考え方を変えるきっかけにする
みなさんも、ぜひパクってパクってパクリ倒した上で提案するよう努力してみましょう。
最終的に自分の意見が通らなかったとしても、パクって身につけた技術は必ずあなたの力になるはずです。
模倣は成長の第一歩です。
自分の意見が却下され、気分を害したことは逆にチャンスかもしれません。
気持ちを切り替えて、自らの能力を高める方向に舵を切るきっかけにしてしまいましょう!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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