
医療業界では、一部の有名な医師以外で転職がキャリアアップにつながったという話は耳にしません。
世間ではキャリア形成としての転職が進むと言われていますが、医療業界ではそれが当てはまらなそうです。
今回は医療業界におけるキャリア形成について考察していきたいと思います。
今回の内容の前提ですが、この世界で一番大切なもの、それはあなたの体と精神の健康です。
心や体を壊してまで優先すべき仕事は、この世界には存在しません!
残念ながら、我々が働く医療業界では、ブラックな職場環境が蔓延しています。
今の職場がどうしてもつらい場合、転職自体は悪いことではありません。それはしっかり認識しましょう。
Contents
≫ 医療業界以外では転職は一般的

|アメリカでは生涯に平均11回転職する
あなたは転職の経験ありますか?
海外では転職することは一般的であり、例えばアメリカ人は生涯で平均11回も転職するそうです。
わたしは医局人事もあり、10回以上の転職を経験しています。回数だけはアメリカ並です。
最近は日本でも終身雇用が崩壊しつつあり、医療業界以外ではキャリア形成のための転職が一般的になってくると言われています。
トヨタ自動車の豊田章男社長の終身雇用に関する発言が話題を呼んでいる。13日の日本自動車工業会の会長会見で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べた。
「終身雇用難しい」トヨタ社長発言でパンドラの箱開くか – 日経ビジネス
|医療業界では転職してもキャリアアップにならない
われわれはどうすべきでしょうか?医療業界でもキャリア形成としての転職を積極的に勧めるべきだと思いますか?
わたしは必ずしも転職する必要性はないと思います。
なぜなら、医療業界では転職が必ずしもキャリアアップにつながらないからです。
例えば、Googleで”看護師 キャリアアップ”と検索してみてください。資格取得はオススメされていますが、転職によるキャリアアップ例はなかなか見つからないでしょう?
医師の場合も、転職による年収アップばかりで、キャリアアップの利点にはあまり触れられません。
また、意を決してブラック企業から転職したはずなのに、転職先もブラック企業だったということは我々の業界ではよく耳にする話ですね。
*個別の病院組織を非難するわけではなく、あくまで業界の特性として、です。
おそらくこの医療業界の特性は今後数年では変わらないでしょう。
≫ 転職が有効でなければ、我々はどうすべきか
|「自分にしかできないこと」をつくる
われわれのキャリアアップには何が必要なのでしょうか?
他人と同じ仕事をやり続けていても、よほど優秀な人以外は特別な存在になるのは困難です。小さなことでもいいので、あなたに任せておけば間違いないことをつくれるよう努力してみましょう。
「あなたにしかできないこと」が一つでもできるとあなたの言葉の説得力が増します。努力して何かを達成した「実績」ができるからです。
また一つ成功体験を得ると次の努力へのモチベーションにもつながります。
私も全く関連のない施設で国内留学をした経験があります。
学んだこと自体は貴重な経験になり、その後の発言や行動に対して周りからの信頼度も上がったと感じています。
こういった実績をつくることができれば、ご自身の施設内での昇進が容易になります。また、転職するとしても大きなアドバンテージになるでしょう。
|必要なのは、”考え続けること”
まずは「自分の得意なこと」、「自分にしかできないこと」を見つける必要があります。
しかし、本当はやりたくないことや、それほど重要ではないことに時間や労力を費やしても無駄になるだけです。
どんなことをやるにも方向性は重要です。
普段の仕事中に常に考え続け、定期的に振り返りの時間を作って、今自分にはどんな能力が必要なのかを考えてみましょう。
これらは考える力を高めるトレーニングにもなります。
やるべきことがすぐ見つからないとしても、自分の基礎スキルを高めておくことはキャリアアップにも有効です。
以下の記事も参考になるかもしれませんので、時間があれば読んでみてください。
≫ キャリアアップにも有効!コミュニケーション力を高めるトレーニング
|身につけるには、時間と労力が必要
新しい技術を身につけるためには自己投資する時間と労力をかける必要があります。
手っ取り早いのは私のように留学(海外・国内)をしたり、研修を受けることかもしれません。自分の施設でやっていないことを勉強してくれば、あなたの評価が上がることは間違いないでしょう。
ただそうは分かっていても、新しいことにチャレンジするという決断はなかなかできないものです。
≫ 「いつかやろう」の「いつか」は一生こない
|迷えば迷うほど「やらない理由」はいくらでも見つかる
もっといいタイミングがきたらやろうと思って先延ばしにしても、そんなタイミングが訪れることは一生ありません。大抵はそのまま決断せずにあきらめることになるでしょう。
しかし、それはあなたが悪いわけではありません。人間は楽なことを好み、変化を嫌う本能があるからです。
本能に打ち勝つためには「決断力」を鍛える必要があり、決断力を鍛えるためには、普段からのトレーニングが重要となります。
|読書と運動を習慣化しよう
日常的に本を読むことで、様々な知識を吸収することへの抵抗感がなくなります。
否定的な意見もありますが、自己啓発本などを定期的に読みモチベーションを維持するのも有効だと思います。
運動を習慣化することで、決断するスピードが早くなります。
運動することでテストステロン産生が増強されます1)。テストステロン値が高い人は、リスクのある決断をすることを恐れない傾向があるそうです2)。
確かに世界のエリートと言われる人の多くは運動を習慣化していますね。
1) 自転車エルゴメータによる運動負荷(90watt)によりテストステロン(TS)濃度は20.8%上昇したが,黄体形成ホルモン(LH)はほとんど上昇しなかった。
男性における運動負荷・冷水負荷の血清テストステロン濃度に及ぼす効果について ー日本衛生学雑誌 46(2), 635-638, 1991
2) Endogenous steroids and financial risk taking on a London trading floor
PNAS. 2008;105(16):6167-6169.
≫ 何かを始めるのに遅すぎることはない

よく言われる言葉ですが、大事なことなので言っておきます。
それは「何かを始めるのに遅すぎることはない」ということです。
「やってみたい」と感じた瞬間がもっともモチベーションが高くなっているはずです。できればその日のうちに行動する決断をしましょう。
「自分には無理だ」と決めつけないで、自分の直感・欲求を信じましょう。
新しく何かを始めることで人生が好転するかもしれません。
わたしは40歳を過ぎてから、プログラミングとボルダリングをはじめました。どちらもやってみて良かったと心から感じています。
≫ いろいろなことに挑戦してみましょう
あなたも決断力を鍛えてやってみたいと思っていることを始めましょう。
もう遅すぎるなんて、心配する必要は全くありません。一度きりの人生です、好きなことをやって生きていきましょう!
最終的には、それがキャリアアップにつながるはずです。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
なるべく多くの記事を更新したいと思いますが、緊急手術などが立て込むと更新が困難になることがあります。
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